(後編)第1回 がん経験者座談会☆~初めてのウィッグ生活あるある

闘病も抗がん剤による脱毛も、どうなるかわからないから不安になるもの。脱毛とどう向き合う?ウィツグの準備は?周囲へのカミングアウトは?など、がんサバイバーさんたちのウィッグ生活を語ってもらう座談会。

 

前半では「抗がん剤の副作用」や「脱毛が始まって一番辛い時期、驚いた出来事」のお話で盛り上がりました! 後半は「ウィッグ購入のタイミング」「カミングアウトはいつする?」に加えて、初めてのウィッグ体験あるあるを振り返ります。

参加者の自己紹介


上野さくらさん(仮名)・40代
乳がん6年生、血液がん4年生
治療内容:同種移植の前処置で抗がん剤使用(フルダラ、ブスルフェクス)。現在は1ヶ月に1回血球をあげるためのロミプレート皮下注射とドナーの細胞が入っているので免疫抑制剤(プログラフ)、プレドニンを服用中。


吉高ゆりかさん(仮名)・40代
乳がん2年生
治療内容:EC療法(エピルビシン、エンドキサンの2種類の抗がん剤を組み合わせた治療法)4回とドセタキセル4回。


丸井千紗さん(仮名) ・40代
骨肉腫2年生
治療内容:AI療法(ドキソルビシン、イホスファミドの2種類の抗がん剤を組み合わせた治療法)とヴォトリエント

ウィッグを買うタイミングは
治療前?治療後?

みなさん、ウィッグっていつ用意されましたか?

それ気になりますね〜。私は「来週から抗がん剤です」と言われて慌てて、リユースウィッグを見つけて購入しました。

医療ウィッグのリユースがあるんですね!

がん経験者のスタッフの方にアドバイスしてもらって安心でした。

それは心強い!

治療が始まって体調が悪くなってからではウィッグの準備なんてできないだろうと思って。はじめてのことだから、どんな状況になるのかも分からないし、用意できるものは早めにと、ウィッグとケア用品など必要なもの一式揃えました。

私は入院期間が長かったので、退院する1週間前ぐらいにネットで購入しました。いつウィッグが必要かを考えたとき、退院時だと思ったんです。そして当日、ウィッグをかぶって退院したのですが…。

ですが??どうしました?

実際、病院から直接自家用車で自宅に帰ったので人に会うこともなくて、今思えばそんなに急いで準備せず、家に帰ってから、もう少しいろいろ調べてからでもよかったかなと。

タクシーや自家用車だとそうかも。

私は抗がん剤を始めて2週間後に購入しました。医療用ウィッグは20〜30万ほどするので、試着せずに買うのが怖くて。

確かに。

ウチはがんになったら家族が優しくって(笑)。「ウィッグで気持ちのテンションが上がったり、心豊かに過ごせるなら30万なんて安いもんだよ」と言ってもらえて。

うらやましいです(笑)。

はじめは医療用ウィッグに決めようと思ってたんですけど、友人が人毛100%で5〜6万で買える素敵な活動をされている美容師さんを紹介してくれたので、話だけでも聞いてみたんです。するとそこのスタッフさんが「髪がある状態だとウィッグのサイズが分からないから、抜けてから購入したほうがいいよ」とアドバイスしてくれて、結局そのお店で購入しました。

ウィッグ生活“あるある”

初めてのウィッグ生活、いかがですか?

まず、ウィッグを初めて利用するとき、謎が多すぎて困りませんでした? ウィッグの種類もいろいろ、つむじの形がO型だのI型だの。

人工毛…。値段もピンキリ。

もみあげアリナシ。おうち用、お外用、何ソレみたいな(泣)。自分に何が必要なのか分からなくて…。

何もわからないから、ネットで調べながら、実際届いたものを見てこれがこうなんだ、髪が抜けたら使い捨ての帽子を被るんだとかね。

ウィッグの“イロハ”がわからず、つまずくんですよね。

あとは言葉。ウィッグに関する用語が難しく、初めて聞く言葉が多くて、フルウィッグってどこからどこまでをいうのかとか…。一つひとつ自分で調べながらですね。

私もわかんないことだらけだったので、ネットで買う気はありませんでした。絶対にお店でコミュニケーションを取りながら買いたかった! なのでウィッグについての情報はプロの人から教えてもらったので困りませんでしたが、ウィッグのことを教えてくれるお店の情報が欲しかったですね。例えば、治療中の人が通える美容室みたいな。

それ最高! 先ほども言ったようにウィッグは急いで選ぶ必要はないと思っていて、ウィッグを取り扱っている美容室があればそこに相談をするとか、とにかく、ウィッグ選びは知っている人に情報をもらった方が吉。

同感です。

あと、ウィッグが飛ばされそうになったことってありません?

あるある!

初めてウィッグを被ったときに飛ばされそうになって「うそでしょ!」みたいな(笑)。

帽子にツバがあるとさらに飛ばされやすいですよね。

ニット帽じゃないと安心できないです。帽子選びには注意が必要ですよね。

上野さん、今日はちょうどニット帽ですね!

このスタイルに落ち着いたのには、紆余曲折あるんですよ(笑)。

聞きたい(笑)。

私は最初に安いウィッグを買って、その後も何個かウィッグを購入したんです。自分の気持ちを切り替えるために、いろいろな髪型をしたら楽しいんじゃないかと思って。ロング、ショートといろいろなパターンを買いました。

ウィッグで気分転換ができて良さそうですね。

確かに楽しかったんですが、気になることが少し…。私が治療中と知っている人は「新しいウィッグを買ったんだね、似合ってるよ!」と言ってくれるんですが、治療中だと知らない人は急に髪が伸びたり、短くなったりするので、すごく不思議に思っていたんじゃないかなって。

なるほど〜。

そういうことが気になって、この人に会う時はこのウィッグ、子どもの行事へはこのウィッグとかって使い分けているうちに、私自身がわけわからなくなってしまって…。

想像できますね(笑)。

結局、誰にどのウィッグで会っていたか、面倒臭くなって、最終的にこのスタイルで行こうと、「帽子をかぶる人」に落ち着きました(笑)。

そんなストーリーがあったんですね!

そして、今1番の悩みが脱ウィッグをどのタイミングでするかということ。

私は2ヶ月前に外しました。まだ自分の髪がめちゃくちゃ短くてベリーショートです。私の息子は野球部で、いつも応援のときは野外なので帽子をかぶっているんですが、昨日はナイターの試合で帽子を外して応援に行ったら、お母様方に「えっ! そんなに短かったの?!」ってびっくりされて、あっデビューしちゃったみたいな(笑)。

おお!

でも私、今の薬が合わなかったら、また脱毛する抗がん剤に戻っちゃうんです。その時にまたウィッグになると、私が持っているのはロングウィッグなので、早くウィッグ取りすぎちゃったなって、昨日夫と話してたところです。「もうその時は(治療していることを)カミングアウトだねぇ」って。

脱ウィッグと同じぐらいカミングアウトについても皆さんどうされているか気になります。

そうそう、いきなり「実は私、病気をかかえてまして…」って言われても重いじゃないですか。すごく仲の良いママ友には言えるんですけどね。

わかります。ママ友にも関係性が濃い方と薄い方がいるからですね。

誰彼構わずみんなに言って子どもに噂が回り、悲しい思いをさせたくないという気持ちもあるんですよ。「たられば」なんですけどね。

治療による外見の変化と付き合いながら、社会との接点を持っていくって心が疲れますね。吉高さんはお仕事をされていますが、どうですか?

私はボブからショートウィッグを被ってお客さんに会ったとき、「あらっ、髪切ったの? お似合いね。髪のツヤがあってが綺麗ね、どこのシャンプー使ってるの?」とまさかの質問にあって困りました(笑)。

アハハハ! 何てお返事したんですか?

「デパートにある自然派シャンプーですよ」といつも使っている商品をお伝えしました(笑)。仲のよいお客さんには「実は…」と言えるけど、それ以外の方は、治療している話をする関係でもないし、話題的に雰囲気が悪くなるのも嫌なのでサラッと流すようにしています。

距離感が微妙な人への対応法を準備していたらよさそうですね。

私も法人のお客さまとオンラインで打ち合わせをするときがあるのですが、さすがにピンクのファンキーな髪型をお見せできないので、その時だけウィッグを被ります。

メイクはどうされているんですか?

黒髪に合わせて眉毛を濃いブラウンで描いたり、チークを入れたりと法人営業向けメイクをしています(笑)。髪型や髪の色とメイクってある程度合わせないとおかしいから。

それ大事!

治療中、自分を励ましていたものは
やっぱり・・・

みなさん、抗がん剤治療で身体も気持ちもすごく辛いときが何度もあったと思うのですが、闘病生活を乗り越える強い気持ちを支えていたものはありますか?

私は今まさに治療中なんですけど、きついときは終わりのカウントダウンばかりしています。告知されたときは永遠に続くイメージがあったんですけど、あと4回、3回…2回そればかり考えています。自分を子どものように「もう終わるから、もう終わるから」とあやしている感じ。

私も一緒!

きついときはすぐに寝るし、食欲のないときは無理して食べない。お寿司が好きなので、「治療が終わったら一番豪華なお寿司を食べよう!」とか、楽しみを作って気持ちをつないでいます。

やっぱり食べ物ですよね(笑)。私はひたすらYouTubeやインスタで美味しそうな食べ物を見続けて、退院したら美味しいものを食べに行こうと思っていました。あとは、子どもが待っているので、とにかく自宅に早く帰ろうという想いが頑張れる力でしたね。

私も、抗がん剤治療の回を重ねるごとにキツくなって、泣きじゃくっていたので、とにかく泣きたかったら泣く! 泣いて「もうやだ、もうやだ」って。

泣きます、泣きます! 我慢しない。

私、1週間の入院中ずっと抗がん剤治療をしていたんですけど、吉高さんが言われていたように、泣きながらカウントダウンして、これが終わったら焼肉食べようみたいな。やっぱり食べ物(笑)。

みんな辛い思いをして泣いたり、悔しい思いをしたり、我慢したりは同じですよね。

周りの声ではなく
自分の声に耳を傾けて

今、治療中の方に伝えたいことは、頑張る必要はないんですが、周りに助けを求めながら、なんとか踏みとどまって、踏ん張ってもらいたいです!

今は、がんに罹る人は2人に1人と言われていて、珍しいことでもないので、そんなに悲しくなる必要もないし、特別不幸と思わなくてもいいと思います。
いろいろな治療方法がどんどん出てきているので、できるものがあったらやったらいいと思うし、できないこともあるかもしれないけど、前を見るしかないかなって。

私は「キャンサーギフト」のように、がんは何かを教えてくれる贈り物だという言葉や考えに惑わされちゃって…。過去の自分の何がいけなかったんだろうと自分を否定したり。私らしく生きるためには、ウィッグを被るべきではないのではないかとと思った時もありました。ウィッグって自分を誤魔化しているじゃないですか、病気を受け入れてないみたいな。だから、脱毛していても、例えば頭にスカーフをかっこよくおしゃれに巻いて「私、がんで坊主だけどこんなおしゃれして楽しんでまーす」みたいな。

オープンにしている女性こそがかっこいいみたいなね。

そう。だけど、本心はやっぱりがんになりたくなかったし、みんなにバレたくないとか普通でいたいとかいう気持ちが強くて、すごい無理があったなって気付いたんです。
それからは無理せず、その時その時で、自分が自分を許容できる心の段階というのがあって、ウィッグが恥ずかしいことじゃないし、全然いいんだよっていうことが受け入れられたときに、ふっとすごく楽になったんですね。だから、同じように感じている人がいたら「がんになってかっこよく生きなきゃなんて思わなくていいんだよ」と伝えたい。

とても共感します。こんな自分じゃだめだと自分を鼓舞しすぎたんでしょうね。丸井さんが自分の気持ちにうそがない生き方をしているのがよくわかります。

あと、最後に、私は看護師さんに「ネットの情報は悪い情報が目立つ傾向があって、闘病生活などは悲しい話が多いので見ない方がいいよ。」と言われ、ネットの情報を意識的に見なかったことは良かったかな。私が参考にしていたのは信頼できる方からの情報だけ。前向きに闘病するには、なるべくネット情報は見ないほうがいいよっていうのは伝えたいですね。発信元も分からないし。

確かに、ネットって悪い情報が多くて、良い話が見えにくい仕組みかも。がん治療して元気な人もいっぱいいるのにね。

私たちの座談会のように、がんの経験をありのまま語ることでネットの世界でも希望を届けることにつながればいいな。

座談会を終えてチアーズビューティーではがん患者さんががん治療と様々なことを両立しながら生活していけるように有意義な情報発信をしていきます。
がん治療の経験談は、きっと誰かのためになると思います。がん治療の経験で気付いたこと、必要な情報があればどんどんリクエストしてほしいと思います。
がん治療の経験談を集めて知恵袋という財産にしていきたいと思いますので、がん経験談の座談会へのご参加お待ちしております!(オリジナル粗品を差し上げます)
チアーズビューティーが頼れる存在として、がん患者さんにとって「この情報があって助かった」というサイトを目指していきます。

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