チアーズビューティーでは、がんの闘病を経験した女性を対象に座談会を開催しています。闘病も抗がん剤による脱毛も、どうなるかわからないから不安になるもの。脱毛とどう向き合う? ウィツグの準備は? 周囲へのカミングアウトは? など、今回はがん経験者の方々へウィッグ生活を語ってもらいました。
参加者の自己紹介
上野 さくらさん(仮名)・40代
乳がん6年生、血液がん4年生
治療内容:同種移植の前処置で抗がん剤使用(フルダラ、ブスルフェクス)。現在は1ヶ月に1回血球をあげるためのロミプレート皮下注射とドナーの細胞が入っているので免疫抑制剤(プログラフ)、プレドニンを服用中。
吉高 ゆりかさん(仮名)・40代
乳がん2年生
治療内容:EC療法(エピルビシン、エンドキサンの2種類の抗がん剤を組み合わせた治療法)4回とドセタキセル4回。
丸井 千紗さん(仮名) ・40代
骨肉腫2年生
治療内容:AI療法(ドキソルビシン、イホスファミドの2種類の抗がん剤を組み合わせた治療法)とヴォトリエント
抗がん剤の副作用は
人それぞれ
私は、6年前に乳がんに罹りました。その時は、脱毛はなかったのですが、4年前に血液がんで骨髄移植を受けた時の抗がん剤治療で脱毛しました。それからウィッグを利用しているのですが、他の人のウィッグ生活ってどんなだろと、今日はいろいろ聞きたいなという気持ちで参加させていただきました。
私は今、まさに抗がん剤治療中です。来週、やっと最後の1回なんです!
あと少しですね! 私も今、抗がん剤を服用しています。
注射ではなく飲み薬があるんですか?!
そうなんですよ、分子標的薬という抗がん剤で、副作用的には脱毛ではなく、髪の色が変わるという…。白や金髪になります。肌も少し美白になった気が(笑)。
脱毛しない抗がん剤もあるんですね。ピンクに染めた髪色がとてもお似合いです! 私はまだ抗がん剤治療が終わっていないのに、産毛が少し生えてきてビックリしました。逆に全く抜けなかった髪の毛も数本あります。
他に抗がん剤の副作用はどうでしたか。
私は、前半のEC療法では髪が抜け、吐き気もすごかったです。後半のドセタキセルでは、眉毛やまつ毛が抜けちゃって目の中に入るし、耳の中が痒くて、もしかしたら耳の毛も抜けているのかも。
抗がん剤の副作用は、今まで経験したことのないことだらけですよね。
後半の薬では吐き気はありませんでしたが、口の中がカラカラになって、手足のむくみもひどくて…。自分の手足じゃない感覚。
弾性ストッキングは履いていないんですか?
履いたら真っ赤になったので、怖くなってやめたんです。
あらら。
「ドセタキセルはむくむから気をつけてね」と先生に言われていました。当時、食欲がなくラーメンやポテトチップスを食べたところ、そしたら手がグローブみたいに! 後で知ったのですが、塩分はNGみたい(泣)。利尿剤を飲んでセルフケアするしかないです。
私は薬の副作用で、とにかく朝がだるいです。
抗がん剤の副作用は、不調がどこにどう表れるかは人それぞれですね。
脱毛は途中が一番
ドンヨリする
病気の告知だけでもすぐには受け入れられないのに、脱毛についてはいかがでしたか。
私は急遽「来週に1回目の抗がん剤をしましょう」と決まって。髪が抜けるのは2回目以降からとなんとなく知っていたので、まだ大丈夫だと思っていました。念の為、薬剤師さんに確認すると「今の薬は1回目から抜けますよ」と言われて「えっ?!」と驚きました。
薬も変わっていくからですね。私の場合は先生が「この日に抗がん剤を打つと、大体この日ぐらいから髪の毛が抜けてきます。」と事細かにお話してくださって、そのとき「女性だと手ぐしでバッサリ抜けると、すごくショックが大きいから、最初に坊主にしたほうが、精神的に安定される方が多いですよ」とアドバイスもいただきました。
私も吉高さんと一緒で、バタバタと治療法が決まり、抗がん剤が始まった頃も、まだ告知を受けた時の精神的ショックの方が大きかったですね。だから髪の毛が抜けはじめてから「あっ! 早く坊主にしなきゃ」と。
坊主ですか?!
そう、先生のアドバイス通りに(笑)。美容室で思い切って5mmにしてもらいました。脱毛に関しては「あ〜ハイハイ、きましたね」と、先生のおかげで、どちらかと言うと落ち着いて受け入れることができましたね。
すごい行動力ですよね。
坊主にして思い切った自分が新鮮で、結構似合うじゃんみたいな(笑)。「抗がん剤=抜ける」と思っていたので、治るためにはしょうがないと。
私も、脱毛は仕方ないと思ってて、抜けはじめたときは手ぐしでポロッと抜ける程度だったのが、抗がん剤をして2週間後、お風呂で髪を洗っているときにバッサリ半分ぐらい抜けちゃって。 「ついにきたな」という感じでした。
それから、本当はよくないらしいんですけど、自分で手櫛で抜いたんです。毎日少しずつ抜けていく髪の毛や自分の姿を見るのが嫌だったので。
半分以上は自分で抜いたかな。抜けてる最中が、「これからどうしよう」とか、「中途半端に抜けたらどうしよう」とか一番不安でしたね。抜けてしまうと逆にスッキリしたかな。
すごくわかります!
やっぱり、あるものがなくなるっていうのは辛いですよね。特に脱毛していく途中が辛い。だから短く切って、なるべく自分にショックを与えないように、鏡を意識的に見ないようにしていました。
ドライヤーをかけたら
大変なことに!
髪の毛って想像以上に量があるし、フワフワしているので処理が大変だと思うんです。工夫していたことはありますか。
髪が集めやすく、飛び散らないように洗面台で髪を洗っていました。あと、髪を乾かすときも大変。分からないからドライヤーかけると、バッ〜って髪が飛び散っちゃって!
それは大変!
タオルドライでも、ぼろぼろ抜けるので、下にチラシなどを敷いて、集めやすくするなどしていました。必需品はコロコロ(粘着カーペットクリーナー)。気が付くと家のあちこちにすごい量の髪の毛が落ちていたりするので、なるべく辛くないようにすぐコロコロで片付けていましたね。
掃除が面倒臭いんですよね。私は枕が汚れないように寝るときは不織布帽子をかぶって寝ていました。朝起きて「今日もこれぐらい抜けちゃった」みたいな。
丸井さんは変化を受け入れる適応力が高いですよね(笑)。
主治医の先生をはじめ、美容師さんや周りの方たちが小さなことでも納得できるまで説明してくれたのが、かなり闘病の支えになりました。
次回後編は「ウィッグを用意した時期」や「ウィッグ生活のポイント」「カミングアウトするタイミング」などについて語っていただきます! お楽しみに☆
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